平成元年

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 いつの間にか、ピアノ線が張り巡らされていた。 「なかなか…やるの…んん? これは良いワイヤーだ…どこで仕入れたのだ?」 「ホッホッ…ワシに勝ったら教えてやるぞい」  とても楽しそうな2人です。 その後も、2人は何種類かの術を仕掛け合い拮抗した闘いが続いた。 「お前たち、ワシらの術をしかと見たか? 覚えて活用するのだぞ…次は格闘じゃ」  刀を抜き、また対峙した。 2人とも、とても奇異な構えと剣捌きをしている。 純粋に闘う為に磨き上げて来た剣術だから、太刀筋自体には無駄な動きはない。 しかし、この奇異な構え方には無駄があるように見える…でも、それには理由があった。  忍は、敵と遭遇しても殺し合うことは滅多になく、遁走することを最優先としている。 集めた情報を持ち帰ることの方が大切なのだ。  その為の技術が、この構えと体捌きになっているのだ。
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