平成元年

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「出来れば我々の出番が無く、平和な結果になればよいが…相手はとても強い一族だ」 「やりたくない相手ですね…」 「ん…まさか親戚同士の潰し合いになるとはな…依頼元同士も非道い事をするものだ…何か変だよ…」  対立しているふたつの依頼元は、元々ひとつの政党だったのだが最近分裂し激しい政権争いをしている。 その影響で、今まで味方だった一族同士が潰し合いをする異常事態が続いている。 裏の世界では、たまにこのようなことはあるが、今回は多過ぎます。  木菟が周りを気にしながら壱にまた話す。 「皆には内緒だが、あちらの大将ともこの件は話をしていてな…お互いの諜報部が連携して調査しているんだ。 でも、今回の作戦前に調査結果が間に合わないんだ…辛い闘いになりそうだなぁ…壱よぉ…」  眉間にシワを寄せた壱は静かに返事します。 「…致し方ないですね…これも我々の運命です。 受け入れるしかありませんね…」
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