一富士

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先ほどの駐輪場から10分ほど経った。 「うわww真ちゃんなんか荷物増えた?www」 僅か10分。長い曲だと5~6分、つまり2曲聞く間に緑間の荷物が増えた。 それも大量に。 「先ほど助けた老夫婦に貰ったのだよ。邪魔になると言ったら風呂敷に包まれて押し付けられた」 「だからって、ふた袋もwwwwしかも風呂敷と真ちゃんおんなじ色してるwww」 物を貰うのは構わない。 だが今貰っても邪魔なだけだ、老夫婦には悪いが路地の隙間にひとまず保管する。 幸い銭湯は休んでいなかった。 「あ、良かった開いてんじゃん!」 「ああ、これで富士山はクリアなのだよ」 しかし 「え?うちのタイルは小学生が記念かなんかで別の絵を描いたから今は富士山じゃ無い?」 「そんなことが、あるのか…!?」 あったりするのだ。 いざ富士山を見ようと扉を開け放った、高尾と緑間を迎えたのは子供の絵。 腰にタオルを巻いたまま高尾と緑間は銭湯の受付まで駆け戻り、其処に座っているおばあちゃんに聞いたところ、先ほどの答えが返って来たのだった。 「ひとまず、風呂入ろうか…」 意気消沈している緑間を高尾が半ば引きずって、体を洗わせ風呂に浸からせる。 「先輩に写真送って貰うのだよ」
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