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「良かった、来てくれて。
ドタキャンされるかと思ってた」
軽くグラスを合わせ口に運ぶ私に
但馬さんが小さく溢す。
「どうして私がドタキャンすると思うんですか?
約束したじゃないですか」
私は笑いながら料理に手を伸ばす。
「だって俺の事、
避けてたでしょ?」
但馬さんは私を真っ直ぐ見据えてきた。
さっきは気づかないフリをしていたくせに
―――本当に食えない男。
「避けてたんじゃありませんよ。
色々と忙しかった、て言ったでしょ?」
間を入れず言うと
動揺を悟られないように
ニッコリと微笑んでみせる。
「本当?
じゃあ、この後も勿論、
付き合ってくれるんだよね」
どうにか誤魔化そうとする私の手を
逃がすまいとギュッと握り
挑むような目で見てきた。
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