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それはもう音声では無く、意味のない叫喚であり咆哮でしか無かった。
今にも首を締め付けるかという勢いで小松に詰め寄る自称超能力者。
その間にスタッフが入り必死に宥めようとした。
努力が実り、自称超能力者は荒い呼吸で小松を睨みはしているものの、口を閉ざしスタッフの誘導に従い着席した。
さあ、ついに断罪の斧を振り下ろす時だと小松は意気込んだ。
「いやあ、申し訳ありませんでした。その御力に、それほど『袖』が大事だと思っていませんでしたので。しかし、『招かれた』と仰っていましたが、今日はあなたの力が本物かどうかを示す企画ですよ? あなたもそれを承諾して出演されたのでしょう? それとも、自国の村人の様に、疑うことも無く騙されるとでも思っていたのですか?」
『騙す』と決めつけていた。
自分を程度の低い奴と一緒にするな、とでも伝わるように、口調自体は丁寧だが表情には毒と嘲笑を織り交ぜた小松。
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