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「あれ? 違うと思います」
「そう。例え科学がその力の作用を説き明かしたとしても、超能力は超能力だ」
「でも、何でそうなるか分かってしまったら、<超>じゃないんじゃないですか?」
「なら、能力、だな。うん。手で触れずに動かせるなら、それは随分素敵な能力だ」
一人納得したように、うんうんと頷きを繰り返す三年生だったが、一年生は何が『うんうん』なのか分からなかった。
「あの……」
「不満かい?」
「いえ、そうではなくて……何の話でしたっけ?」
「ん?……ああ、それじゃあ……超能力は科学か否か?」
突き付けられた人差し指にドギマギする一年生。
「結局、脳の何かしらの力って分からないんじゃ、科学じゃないんじゃ……」
言いかけたところで、三年生は突き付けていた指を横に振り払った。
「まだ判明していないだけだ。判明させる方法がないだけだ。方法を作り出すルートに気付いてないだけだ。つまり、これは未だに科学としての道筋が見えていないだけ」
「ということは……」
一年生の合いの手に三年生は満足げに口の端を吊り上げる。
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