2.問題提起

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◇ 「君に祖父母はいるのか?」 「は、はい、いますけど」 「うむ、では祖父母の肩を揉んであげたことはあるか?」 「あります」 「その時の祖父母はどんな様子になる?」 「喜んでくれます。『ありがとう』って……」 『ふむ、では『ありがとう』と言われた君はどんな気分だ?」 「え? あ、嬉しいです」 「だろうな。超能力やマッサージチェアでは、喜んではもらえんだろう。『ありがとう』も口にしないだろうし、その言葉で君が幸せに感じることも無い」 「……そうですね」 「この手にもそんな素敵な力があるじゃないか。超能力と呼ばれる以上の力だよ、これは」 「ありがとうを引き出す力、ですね?」 「うむ、ところで……」 「はい?」 「君はどんな恋愛マニュアル本を読んでいるのだ?」 「私ですか? 私は小学生の頃からの流れで<りぼん>です」 「ほう、そうか。奇遇だな」 「奇遇? 何がですか?」
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