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腰が痛いというそのタレントは、自称超能力者に腰を直に触られる度に
「うおお! くすぐったい! くすぐったいッス!」
と大袈裟な声を上げていた。
観覧席からは呆れるような笑い声が上がるが、当の自称超能力者はどこに力を入れているのか汗だくで腰を撫でまわす。
やがて手元から錆びた数本の釘が出現し、自称超能力者は高々と釘をかかげて得意満面の笑顔。
顔だけは人目を引くハーフタレントは
「腰が軽くなったッス!」
とその気になっている。
否定派の席では小松だけでなく、全員が笑いを堪えるのに必死だった。
程度の低い手品師でさえ、こんな手品を見せはしない。
大体、服装からして舐めていると小松は思えた。
隣国の自称超能力者が着ているのは、ゆったりとした長袖のシャツ。
袖の遊びの部分にいくらでも物品を隠しておける。
小松の口元に小馬鹿にしたような冷笑が一瞬だけ浮かんだ。
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