アリス in マジカルランド

3/55
前へ
/201ページ
次へ
 だから彼女は眠っているぅ?  はぁーん、まったくワカンネー。 「哲学か」 「いえ、魔法です」  やれやれ、なんてウサギは肩をすくめると、いつもの三倍増しに嘘くさい丁寧語でもって言った。 「アリス、魔法石の正式名称は覚えていますか?」  あんだこいつ、さては俺がバカだとでも思っていやがるのか? 俺がオカマ野郎の店に行ったのはつい昨日のことだぜ? 忘れるわきゃねーだろーが。 「飛行石だ」 「時遊石です」  ひゃっはー、俺はバカだぜ! 「時遊石――時でたわむれる石。これからもわかる通り、魔法というものは時間を犠牲にして成立しているのです」 「んん? その石はテキトーなとこから掘れるんじゃねーのか?」 「む」  するとウサギは言いよどむ。何か言いたくないことがあるかのように。 「まあそれはいいじゃないですか」  よくねーけど俺は「だな」と答えた。本能的に。 「魔法が時間の消費によって成り立ってる――では『時間』とは何を指すでしょう?」  サギ太は指を立てて俺に問う。クイズマンにでもなったつもりか。だが天才アリス様にわからねーことはねぇ。 「ずばり、寿命だな!」 「……正解です」と、サギ太はウサギ耳を垂らした。  当てちゃったよ!  しかも一回で!  なんかマジごめん!
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加