50人が本棚に入れています
本棚に追加
だから彼女は眠っているぅ?
はぁーん、まったくワカンネー。
「哲学か」
「いえ、魔法です」
やれやれ、なんてウサギは肩をすくめると、いつもの三倍増しに嘘くさい丁寧語でもって言った。
「アリス、魔法石の正式名称は覚えていますか?」
あんだこいつ、さては俺がバカだとでも思っていやがるのか? 俺がオカマ野郎の店に行ったのはつい昨日のことだぜ? 忘れるわきゃねーだろーが。
「飛行石だ」
「時遊石です」
ひゃっはー、俺はバカだぜ!
「時遊石――時でたわむれる石。これからもわかる通り、魔法というものは時間を犠牲にして成立しているのです」
「んん? その石はテキトーなとこから掘れるんじゃねーのか?」
「む」
するとウサギは言いよどむ。何か言いたくないことがあるかのように。
「まあそれはいいじゃないですか」
よくねーけど俺は「だな」と答えた。本能的に。
「魔法が時間の消費によって成り立ってる――では『時間』とは何を指すでしょう?」
サギ太は指を立てて俺に問う。クイズマンにでもなったつもりか。だが天才アリス様にわからねーことはねぇ。
「ずばり、寿命だな!」
「……正解です」と、サギ太はウサギ耳を垂らした。
当てちゃったよ!
しかも一回で!
なんかマジごめん!
最初のコメントを投稿しよう!