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「寿命と言いましても色々あります。たとえば何年まで生きられるかというものがあらかじめ決まっているのだとしたら、それを削ることでも寿命を使ったと言えますよね」
サギ太は指を立てて耳も立てて言う。
ふむふむ。まあそうだな。寿命を削れば寿命を使ったと言える。けど待てよ、それ以外に「寿命を使う」って言える何かはあったか?
悩む俺の顔を見てニヤニヤしやがるから鼻パンチしたいけどそういえば俺は今もネズ子の魔法で動けない!
魔法コノヤロウ!
ウサギは微笑ましそうに笑いながら、車いすを指した。
「こうして寝ていることも、寿命を使ったと言えるわけですよ」
「んぁ?」
寝ているって――ネズ子は今も車いすですやすやだ。寝息を立てていやがるこいつを起こしてやろうと思ったから石みてぇにカッチカチになっちゃってんだ。ああ、腹立つなあ、こいつの寝姿! めちゃくちゃ気持ちよさそうに寝てんじゃん! 俺も寝てぇなあ!
ウサギは言った。
「眠る、ということは、それだけ『起きている時間を削る』ということなのです。だから結果として、眠ることは生きている時間を無駄にする――寿命を削る、と言うこともできるのですよ」
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