第一章・・・過去の記憶

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■prologue  俺にとって、キミは。  かけがえのない存在で  俺の命よりも大切な存在で  守ってやりたい存在で  ずっと隣にいたいと思った。  1秒たりとも忘れることなんてなかった。 何度も何度も、繰り返される。  脳裏に焼き付き、鮮明に浮かび上がるキミの笑顔が 俺の心を キツく締め上げる。 再び  キミの その潤った瞳を見詰めて  端麗な髪に  白く透き通るような肌の頬に  薄桃色の唇に  ・・・指を走らせることができたなら  ・・・触れることができたなら どんなに望んでいることか。  両手で自分の腕を抱きしめてみれば 胸元と腕の間に微かな隙間。  昔は ここにキミがいた。  ただただ虚しいだけの両手は、だらりと力なく崩れ落ちる。  掌には 未だに仄かなキミの温もりが、逃げ場をなくして残っていた。  想い出の隙間を埋めるには ただ、膨大な時間が必要だった。  けれども 俺には時間がない。  せめて 少しでもキミを、記憶の中から消滅させようと試みたこともあった。 できっこなかった。  心の傷は癒されず  消えることもなく ただ無駄に、時間だけが刻々と過ぎていた。  手を伸ばせば そこに、キミがいた。  なのに なぜ今は、そこにキミはいないんだ?  死んだからだよ。  なぜ死んだんだ?  殺されたんだよ。  酷く、耳鳴りがしつこい程に鳴り響く。 悲鳴にも似た耳鳴りだった。  複雑になる。  ただ キミに、会いたい。
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