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■第2話・・・親友
あれから1年。
中3だった俺は、高校へ入学した。
未だに彼女の死を受け入れられずにいて
ただ勉強して、友達と遊ぶだけの普通の日々を送っていた。
キーンコーン・・・
授業終了の時間を告げるチャイム。
教師が教室から出て行くと、生徒たちは自由に立ち歩き始める
「 大空 昼だぜー! 屋上行くかっ 」
気持ちが高ぶっているような声と共に 肩を軽く叩かれて振り向くと 満面の笑みが俺を迎えた。
「 なんだハルキかよ 」
「 なんだっつーことはねぇじゃんかよー 」
教室を出て屋上へ行く廊下を足早に歩く。
途中、窓の外を見ると、だいぶ桜が散っていた。
突き当たりを曲がり、階段をゆっくりと登る。
「 大空 この階段こわい 」
「 知らんって 」
たしかに、この階段は屋上へと続いていて
かなり急だ。
しかも薄暗く、段数も30段ほど。
半分ほど登ったところで
ズボンの尻ポケットに違和感を感じた。
石のような、硬い感触。
不意に足を止めると、カツ…ンとそれが落ちる音がした。
「 大空… なんか落とした? 」
「 ん… ちょっと見てみる 」
そう言い残して、坦々と早めに階段を下りていく。
「 大空転びそうだけど… ゆっくり下りろって 」
「 大丈夫だって 」
だいぶ前から思っていたけど、ハルキの勘はよく当たる。
急に不安に襲われた。
「 うわっ…ぁ 」
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