第1部

1/16
前へ
/16ページ
次へ

第1部

 ある画廊で、あなたはタデウシュ氏に出会う。  タデウシュ氏――それが氏の実名であるかは定かでない。名前に限らず、年齢も職業もわからない。なにしろ、氏は煙のように掴みどころのない人物なのだった。あなたはその画廊で氏を見知って以来、幾度となく顔を合わせたが、その正体を明らかにすることは遂に叶わなかった。氏の名刺には「タデウシュ」という名のほかに、何も記されてはいない。    
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加