第2章の続き

4/27
52人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
 「なぁ千里。お前、金いくら持ってる」  「お金かぁ。口座に30万円くらいかな」  蓮が舌打ちし、大きな溜息をついた。  「慰謝料払えって?」  今度は鼻から息を吐きながら頷いた。  「いくら? 100万円くらい?」  「0がもう一つだ」  その殆どが溜息で、僅かに声が混じっていた。  なるほど、蓮が取り乱したのも納得の金額だ。  「俺が絶対に被害届を出されたくないと分かってて足元見てるんだ」  「払わなければ警察に届けるって?」  「ああ。それに加えて横領でも訴えるとさ」  「横領?」  「集金の僅かな使い込みだ」  「5月分の給料まだ貰ってないでしょう? そこから引ひいて貰えば済む額じゃないの?」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!