第2章の続き

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 「普通ならそうだ。だけど給料の支給と使い込みの穴埋めは別問題だとよ。まずは給料を受け取りに来いってことだ」  返ってくる返事は判っていたが、敢えて言ってみた。  「なるほどね。気まずいだろうけど貰いに行かないと損だよね」  「馬鹿。それでとっ捕まったらどうするんだ。相手にとっては大チャンスだろうが。  奴らは俺を傷害の罪で、刑事裁判と民事裁判の両方にかけて償わせたいんだ。  そして順序としては、まず逮捕させて刑事事件を立件させたい。  だから横領なんてのは、更に警察を本気にさせてやるぞ、という俺への脅しだ。逃げるなよ、逃げ切れないぞってな。  もちろん逃げれば脅しではなく、実際に横領でも被害届を出すだろうけどな」  「じゃぁ、とりあえず集金の使い込みだけは払ったとしても、あんまり意味が無いってことね。問題なのは傷害の慰謝料か」  蓮が再びため息混じりに頷いた。  「例え慰謝料を払ったところで、裏切って被害届を出したり、既に出てる被害届を取り下げてくれない」  「じゃぁ、もし慰謝料が払えても意味がないんじゃないの?」
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