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「払うならこっちもきっちり示談書を書かせるのさ」
「それは民事裁判で役立つんじゃなかったっけ?」
「いや。刑事事件でも起訴か不起訴を判断するときに、示談が成立してれば結果は全く違ってくる。
被害者の感情やら検事の心証が大きく影響するんだ」
私は一年半前の事件を思い返した。
確かに示談書どころか、被害者への謝罪すら出来ずに裁判に挑んだはずだった。
「なるほどね。
民事としては慰謝料を元に示談書を書いてもらう。
警察への被害届を出させない、もしくは取り下げさせるという部分は交渉次第ってことね。
ってことは、警察から追われる身になるのを避けるには、まず1000万円を用意する以外に道はないってことね」
「ああ。慰謝料と引き換えに示談書を書かせておく。
それでも被害届を出されたら仕方ない。
だが出頭して情状酌量を狙うって道も有り得るってことだ。
一生警察から逃げ回るのは楽じゃないだろうからな。
最悪でも手ぶらじゃ捕まる訳には行かないってことだ」
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