第2章の続き

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 「払うならこっちもきっちり示談書を書かせるのさ」  「それは民事裁判で役立つんじゃなかったっけ?」  「いや。刑事事件でも起訴か不起訴を判断するときに、示談が成立してれば結果は全く違ってくる。  被害者の感情やら検事の心証が大きく影響するんだ」  私は一年半前の事件を思い返した。  確かに示談書どころか、被害者への謝罪すら出来ずに裁判に挑んだはずだった。  「なるほどね。  民事としては慰謝料を元に示談書を書いてもらう。  警察への被害届を出させない、もしくは取り下げさせるという部分は交渉次第ってことね。  ってことは、警察から追われる身になるのを避けるには、まず1000万円を用意する以外に道はないってことね」  「ああ。慰謝料と引き換えに示談書を書かせておく。  それでも被害届を出されたら仕方ない。  だが出頭して情状酌量を狙うって道も有り得るってことだ。  一生警察から逃げ回るのは楽じゃないだろうからな。  最悪でも手ぶらじゃ捕まる訳には行かないってことだ」
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