第2部

14/25
前へ
/25ページ
次へ
【場面27――食堂】  食堂。タデウシュは玉葱を食べている。  執事が音もなく現れて、  執事    たった今、電話がございまして、局の者だとか言いましたが、どうも要領を得ません。  タデウシュ 局とは何のことだ。  執事    それを何度も訊くのですが、旦那様が御承知の筈だからと急かすばかりで、話が見えませんから取次ぎを断りました。  タデウシュ 妙な電話だ。  執事    お食事中に失礼しました。一応、ご報告を。  タデウシュ ありがとう。そんな電話には出たくない。  執事    ただ妙なことを言うので閉口しました。  タデウシュ どうしたと言うんだ。  執事    何か急な話であるらしく、しきりに残念がっているのでございます。こういうわけで連絡が遅れましたが、もうどうなるものでもありませんし、何を今さらと仰有るのは重々承知しているのですけれども、とにかく手続きを至急にという話でした。  タデウシュ 何だそれは。  執事    すべてあちらの都合で話しているようでした。  タデウシュ わけがわからん。  執事    おかしなことです。  タデウシュ かけ間違えたのかもしれない。  執事    いえタデウシュ様はおいでですかと言っておりましたから。  タデウシュ ふん。あまりいい気持はしないな。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加