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【場面27――食堂】
食堂。タデウシュは玉葱を食べている。
執事が音もなく現れて、
執事 たった今、電話がございまして、局の者だとか言いましたが、どうも要領を得ません。
タデウシュ 局とは何のことだ。
執事 それを何度も訊くのですが、旦那様が御承知の筈だからと急かすばかりで、話が見えませんから取次ぎを断りました。
タデウシュ 妙な電話だ。
執事 お食事中に失礼しました。一応、ご報告を。
タデウシュ ありがとう。そんな電話には出たくない。
執事 ただ妙なことを言うので閉口しました。
タデウシュ どうしたと言うんだ。
執事 何か急な話であるらしく、しきりに残念がっているのでございます。こういうわけで連絡が遅れましたが、もうどうなるものでもありませんし、何を今さらと仰有るのは重々承知しているのですけれども、とにかく手続きを至急にという話でした。
タデウシュ 何だそれは。
執事 すべてあちらの都合で話しているようでした。
タデウシュ わけがわからん。
執事 おかしなことです。
タデウシュ かけ間違えたのかもしれない。
執事 いえタデウシュ様はおいでですかと言っておりましたから。
タデウシュ ふん。あまりいい気持はしないな。
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