第2部

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第2部

     天使にはどこか廃物の趣がある。  徹夜明けの重たい頭を振って、天使絵画展へと出掛けたのは木曜日のことだった。まだ午前中とあって入館者は疎らであり、薄暗い廊下を幽霊のようにあなたは歩いた。ずらりと並べられた天使たちの絵画はいずれもやわらかな照明に照らされている。そのため天使たちがその場に浮遊しているような錯覚をして、あなたは何度か強く瞬きを繰り返さなければならなかった。ふと目眩がした。その原因は昨晩の徹夜だけではなく、この美術館の照明や展示方法にあるようにも思われるのだった。あなたは第二展示室の中央にある長椅子に腰掛け、ぐるりと四方の壁面に立ち並ぶ天使たちを眺める。残念なことに、ここにはあなたの見たい天使がいなかった。「天使は」、そう天使とは、あなたが抱く天使のイメージは。それは廃物のような何かだ。傷んだ羽根、薄汚れた衣服、樹脂の瞳、冷たい息。もっと醜悪でなければならない。  天使という語に対して反射的に想起する二場面。  天使は――    
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