-はじまり-

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「こんばんはー!新規1名様ご来店です!」 歩くこと10分。たどり着いた店に入り、案内された席に座った。 ホストがコロコロ変わった。 隣の席の女が歌い出す。 ひどかった。 やっぱり来るんじゃなかった。楽しみ方が分からない。 「楽しくない?」 知り合いのホストが戻ってきた。 「んー。なんかごめーん。」 「そかー。俺がずっと席にいてやれればいいんだけどな。」 「………だね。」 いても変わらないと思うけど。 「あとどのくらい?」 「10分くらいかな。延長する?俺指名してくれたらずっとそばにいれあげれるよ?」 「………しなぃ。」 するわけないじゃん。 「まぢか!とりあえずここは俺が出そうか?」 出すつもりじゃなかったの?! 心の中のツッコミがとまらなかった。 「ありがとうございましたー!!!」 恥ずかしいくらいの見送りをされ、店を出た。 「送るわ!」 あとを追いかけてきた。 肩に手を回す。が、格好がつかない。 背の低さを自覚していないのか? 腰に手を回すとか腕を組むとか、あるのに。 まー憧れなのかもしれないと、縮んで歩いてあげた。 「タクシーどれでもいい?」 「うん。」 「また会える?」 「うん。」 「絶対やお?」 そう言って抱きしめられた。顔を持ち上げられキスされた。お酒の匂いがした。 「気をつけて帰れよ。」 「うん。仕事頑張って。」 「ありがと。また連絡するわ。」 「ならね。」 タクシーのドアがしまった。 「お客さんどこまで?」 「aaaまで、お願いします。」 タクシーが走り出す。 スカートのポケットに手を入れる。 綺麗に畳まれたお札が入っていた。 多すぎるタクシー代だった。 <ありがとね?> <会えてよかった。> 返事を確認し終わると、その日の履歴を削除した。
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