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さっきの言葉どおり、私が家に帰って、ふたりでケーキを食べながら電話のつづきをした。
私たちは、特別な日、淋しくなった日、そうじゃない何でもない日でも、同じものを共有しながら電話をする。
同じテレビ番組、満月の月、きれいな夕日、食べ物。
距離は離れていても、同じものを共有することで、彼を近くに感じられた。
『来月は、こっちに帰ってこれそう?』
ふいに彼がそう言った。
――来月。
付き合い始めて5年目の記念品か。
来月は、北海道で大きなイベントがあって、うちの会社は、その企画を任されている。
私はそのチーフ。
『ごめん。無理そう……』
心とは正反対の言葉を口にした。
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