その弐・情報収集

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口裂け女と遭遇した時の対処法。なんと言っても好物はべっこうあめ。他には、黒砂糖、ボン○ンアメ、チュッ○チャプス。これらを与えて口裂け女が夢中でなめている隙にできるだけ逃げなければならない。この場合、チュッ○チャプスは都合が良い。『三分間お任せキャンディー』なので、安定して時間を稼げるため。 弱点はポマード。ポマードを髪につけておくか、三回繰り返し唱えると口裂け女をひるませることができると言う。また、手のひらに「犬」と書いておいてそれをパッと見せても効果あり。この字は、墨で書くのがいいとも、マジックで書くのがいいとも言われる。 もし声をかけられた場合、右肩をたたかれたら左からゆっくりと、左肩をたたかれたら右肩からゆっくりと振り返れば殺されない。また「田中さんの友達」と言えば大丈夫だし、ポマードを置いている化粧品店、レコード店、建物の二階に逃げ込めればセーフ。 どれも信憑性に欠けるな。というかツッコミどころが、多過ぎる。こんなんで対処出来たら苦労はしないだろう。 「とりあえず美由紀君。気休めだけどチュッ○チャプスとポマードを買っておくか。無駄かもしれないがチュッ○チャプスは美味しいし、ポマードはワックス代わりに使えるしね」 「リョーカイです。他は大丈夫ですか?」 「後は手のひらにマジックで犬とも書いておこう。念のためにね」 無駄だと思っても、一応やってしまうのが人間の性。と勝手におれは思っている。んまぁ口裂け女はいないという結論になるのが一番良いのだが、これは口裂け女を調べる依頼ではないのだ。大事なのは人探しである。 「先生。口裂け女がいると思っているのですか?それともそうとう怖がっているのですか?」 「そんな訳ないだろ。おれはもう二十六歳だぜ。ガキじゃあるまいし」 「その二十六歳アピールなんですか?口裂け女を信じるのも、怖がるのも年齢は関係ないですよ」 「美由紀君は二十四歳だったね?二十五歳という壁は大きいのだよ。君も後一年したら分かるよ」
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