その弐・情報収集

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というか一つ疑問が浮かぶ。もし犯人が口裂け女の場合、行方不明になった七人は生存しているのかだ。口裂け女って鎌や包丁などで人を殺すのではなかっただろうか?しかし行方不明になっただろう現場には血痕などはないと発表されていたのだ。 それではやはり誘拐犯がいるのか?それとも口裂け女は人を殺さないのか?口裂け女が殺した人の血痕は残らないのか?疑問が多過ぎる。おれは疑問が多い分、長いため息を吐いた。 口裂け女の対処法を調べると終わりがなく出てくる。しかしポマードとべっこうあめ説が多い。事件のことを調べると行方不明になっただろう場所がとても狭い地域で発生していることが分かった。確かに同じ市内で起きていたのは感じていたのだが、改めて調べると事件は半径50m以内で全て起きていたのだ。 こんな狭い範囲で事件があって七件も事件が成立しているのは警察が無能過ぎるか、本当に口裂け女をはじめとする妖怪などの仕業、何故かその二択になった。いくら犯人が巧みにやっても狭い範囲で七件は難しいだろう。そうなると二択になる。 「只今帰りました」 扉が開く音が聞こえ、それと同時に美由紀君の声がおれの耳に入ってきた。おれは考えていたことをシャボン玉が割れるように、一気に頭の中から消した。 「どうですか?調べて何か分かりました?」 「おれの調査力がないのか、発想力が幼稚なのか、口裂け女説が強まっているよ。ただ口裂け女と認められないのは、現実にそんなものがいないと信じたいおれの経験だ」 誰も大人になってから、今までいなかったものを信じることや受け入れることは難しい。だから口裂け女説が強くても、口裂け女がいるという判断は実際に目で見なければ信じられないのだ。 「それでは百聞は一見に如かず、現場に行きますか?」 美由紀君はニコッと優しい笑みを見せながら言った。この美由紀君の笑顔はとても癒される。
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