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すでに夜になった。現場での捜査を止めて事務所に戻って、パソコンで色々と調べていた。
「口裂け女になるにも色々と説があるんだな」
おれはパソコンを見ながら独り言のようだが美由紀君に聞こえるように言った。美由紀君は興味がないのか、無反応だった。
口裂け女になるにも色々と説があると言ったが、どれも共通することは口裂け女が口裂け女になるには口裂け女自身が酷いことが起きてそうなったということだ。
きっとその恨みを込めて出現したのだろう。しかしその恨みはどうしたら晴れるのか?というか恨みというのは晴れるものなのか?
おれは大きなため息を吐いてしまった。考え事は疲れる。おれは背もたれに強く寄りかかりながら、パソコンから天井に視線を移した。
「美由紀君。もし口裂け女と会ったらどうする?」
「えっ?それは逃げますよ。諸説ありますけど、殺されてしまう可能性があるんですよ。私はまだ生きたいので逃げます」
「だよね。でも口裂け女って走るのが早いらしいよ。ってか、口裂け女以外にも妖怪とかって移動早くない?逃げられないんじゃない?」
「それでは先生はどうするのですか?」
質問返しだ。何と無くした質問だったし、どうするかも考えていなかったので言葉に詰まる。口裂け女と会ったらどうするか?いやっおれはどうなるかだ。
受け入れられない真実が突きつけられた時、人は思いも寄らない行動をするのだろう。おれも何か変わった行動をとるのだろうか?
「とりあえず口裂け女と向き合うんじゃない?これだけ色々調べたし、何が良い方法もあるだろうし、目の前の不思議なことに向き合って対処するんじゃない?おれが落ち着いていればね」
おれはパソコンの画面に写っていた口裂け女と遭遇した時の対処法へと視線を移した。どれも胡散臭い。そんな感想しか出てこない。
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