その参・遭遇

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女性がそう質問してきた。もちろん。そう答えようとすると、何故か急に気持ち落ち着いてきた。どこかで聞いたことある。ってか、おれは何をしている?美由紀君はどこだ? 頭が働き始めた。疑問がたくさん浮かぶ。おれは今、……捜査をしていたのだ。何について?行方不明だ。それで……口裂け女だ。そうだ。今、目の前にいる女性は?! 「先生!!先生!!口裂け女です!!先生!!」 美由紀君が叫んでいた。おれは我に返った。美由紀君はずっと叫んでいたようだ。おれは落ち着いて目の前の女性を見た。これは口裂け女だ。 「……ふ~」 心臓のバクバクが破裂しそうだ。目の前のマスクをした女性は本物か?それとも誰かが冗談半分に変装しているのか?おれは少しずつ後ずさりをしている。 おれはゆっくりと手の平を口裂け女に見せた。手の平に人と言う字が書いてあるのだが、効力はあるのか?そんな行動をとってしまったが、目の前の女性が黒か白か判別出来ていない。 「ねぇ私、綺麗?」 女性は綺麗な声で質問してくる。何て答えれば良い?実際に普通と答えても、これでも、と言い襲ってくるかもしれない。おれは逃げようという心の準備だけは万端にした。 「……さぁ?おれって女性を見る目が無いんだ。綺麗かどうかわからないよ。個人の評価で変わるしさ」 やっと声を出した。目の前の女性は睨むようにおれを見た。この間も美由紀君は叫んでいるが、その声に反応は出来ない。 「……というかさ、あんた口裂け女?」 何故かそんな質問を口に出してしまった。ここで逃げられるなら逃げたいが、捜査はどうなる?何故か頭にそんなことが浮かんだのだ。 「うるさい!!」 先ほどの綺麗な声とは違い、ドス低いような声だった。女性はマスクを取った。おれの心臓は爆発寸前。きっとそう表現するのが正しいだろうと思うくらい心拍数が上がる。 女性の口は耳まで裂けていた。本物だ。やばい。どうしよう。頭が働かない。ってか、死にたくない。え~と、対処法は……
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