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口裂け女の手がおれを掴みにきた。おれは腰を抜かすように尻餅をついた。しかし腰は抜かしていなくて、すぐに体制を直して美由紀君の方へ走る。
「美由紀君、走れ。本物だ」
おれはとりあえず走る。美由紀君はおれの声を聞くと走り出す。しかし真っ直ぐ走っても捕まるのがオチだ。おれは走ると同時にポケットにあったチュッ○チャプスを口裂け女に投げ付けた。
口裂け女は不適な笑みを浮かべると、おれと美由紀君に向かって動き出した。やばいおれ死ぬかも。
美由紀君は急に曲がり、シャッター街の途中にあった階段をのぼった。上に上がると、何かあるようだがそこもシャッターが降ろされているが美由紀君はその階段をのぼりきり、シャッターの前に座り込んだ。
おれは美由紀君の元に行こうとしたが、階段をのぼろうとする瞬間におれは転んでしまった。おれは顔を上げると目の前にはすでに口裂け女がいた。
「おれって死ぬの?」
呟いた。そうすれば少しは落ち着けるかも、そんなことを考えた。まだ死にたくないな。やり残したことはあるしさ。まだあの漫画の最終回見てないし、あの遊園地のジェットコースターにも乗ってねぇよ。それにあの映画も見てないしさ。おれ童貞じゃん。ってか、二十六で童貞って魔法使えるんじゃね?そんなことはど~でもいい。あっそれにこの前レンタルしたDVD借りっ放しだし。うわ~後悔多過ぎだよ。
対処法を考えるより先に後悔ばかりが頭に浮かぶ。人はこんなにもやり残したことがあるのか。よし生きよう。じゃなきゃおれは怨念をもった幽霊になってしまうかもしれない。
頭が急激に動いている。対処法は……でもほとんどやっぱり意味がなかった。口裂け女は怯むことなくおれに向かってきた。
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