その肆・捜査

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口裂け女と遭遇して一日が経った。今になっても信じられない。口裂け女の存在もだが、口裂け女と遭遇して二人とも生きていることだ。 「しっかり調べなきゃダメだな」 今の今までおれと美由紀君は詳しく口裂け女の話について話さなかったのだ。これをきっかけに話そう。 「対処法についてはほとんどが嘘だったということかな」 呟くように言った。美由紀君はソファーに座っておれの方に身体を向けた。ポマードもチュッ○チャプスも人の字も意味はなかった。効果があったのは…… 「田中さんの友達と建物の二階。この二つが口裂け女については効果があったようだよな」 「そうですね。何があったのでしょうかね?」 「……全く検討がつかない。けど口裂け女が存在すると言うことは、もっと口裂け女に過去についてとかも調べなきゃならないだろ」 パソコンを点けた。正直、今でも頭がしっかり働いていない状態だ。口裂け女という存在に対してどうすればいい?おれに何が出来る?答えは見つかりそうもない。 「こんなのがあったよ。口裂け女の出所に関しては諸説入り乱れているのですが、一般的にG県M市近辺を発祥とする説が有力とされています。一九七九年一月二十九日には、G新聞にて、口裂け女が初めてマスコミで取り上げられています。記事の内容は県内K郡Y町にて農家の老婦が深夜にトイレに行こうと母屋から離れた際に、耳まで口が裂けた女を目撃したというものでした。だと。  それと一九六八年八月十八日に、G県K郡S町で集中豪雨に伴う土砂崩れに巻き込まれ、バス二台がH川に転落し、乗客百四名が亡くなるというH川バス転落事故が発生したのですが、後に遺体捜索で見つかった女性の頭骨から顔を復元したところ、口が耳まで裂けていて関係者を驚かせたというのです。という二つが気になったね」 パソコンを読みながら言った。どちらもG県だ。時系列的には事故が起きて約十年後に口裂け女が登場したということだ。目撃情報に証拠まであるし、行ってみるべきか?
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