序章

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身長は高くはなく150~155cmと見られる。顔は全然見えないが白いマスクを付けているようだ。少年はふと自転車を止めて、その女性に見入ってしまった。 「綺麗……」 少年はボソッと呟いた。女性は少年に気付き、身体を少年に向けた。女性は痩身で色白だ。サラッと伸びた黒髪が綺麗に見える。女性はマスクをしていて表情が分かりにくいが、目元がニコッと笑ったように見えた。少年は反射的に頭を下げてしまった。 「ねぇ君」 女性が少年に声をかけた。声も綺麗で女性らしい。女性が近くにきて、マスクをしているが、綺麗な顔だと分かる。すっきりとした目鼻立ちがハリウッド女優を思わせる。 「はっはい?!」 「私、綺麗?」 何処かで聞いたことがある。普通の状態であればそう思えるだろう。しかし少年は帰路での杞憂な不安から、目の前の綺麗な女性を見たことで思考能力がしっかりと活動していないようだ。 「はっはい。とても綺麗です」 少年が緊張しながら言うと、女性は目元がニコッと笑ってみせてくれた。少年も自然とニコッと笑ってみせた。 「……これでも?」 女性は先ほどとは違う低い声で聞いた。少年は頭にはてなマークが浮かぶ。女性はマスクに手をかけ、ゆっくりマスクを外した。 「うわぁぁぁぁぁぁあ~!!!!」 次の日、少年は行方不明としてニュースに名前が出ていた。
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