無能の少年

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「今日も勉強か?」 ショウが抱えていた村の図書館で借りてきた本を指して、バンディは嫌みたらしく言った。 「小説だよ」 ショウは今にも消えてしまいそうなの声で弱々しく答える。 「ああっ、魔法がない世界のファンタジー小説だろ? 魔力がない世界ならお前も他の人間と同じように人間扱いしてもらえるもんなあ? 相変わらず現実逃避してんな」 バンディが高笑うと、それに合わせるように取り巻きたちも笑った。 「もういいだろ?」 ショウは踵を返して、その場を立ち去ろうとした。 しかし、バンディの大きな熊のような手が肩を掴みそれを許さない。 「おい待てよ。その本、村の図書館で借りたんだよな? なんで魔力生産できない無能が、本を借りられるんだよ? 一冊“Fレッド”だぞ? この世の最低通貨とはいえ、そんな魔力がお前の体のどこから出てくるんだ?」 バンディはショウの体を引き寄せ、肩をがっちり組んで言った。 耳いっぱいにダミ声が広がり、耳から全身に不快感が突き抜けていく。 「おいおい、バンディ。さすがに無能でも、Fレッドくらい持ってるだろ」 取り巻きの一人がはやし立てるように言った。
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