無能の少年

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  「大方、こいつの家で栽培してる激まずの野菜でも売ったんだろ」 「あ~なるほどね」 「あっ。そうだ。お前らにいいもん見せてやるよ」 バンディは得意気な顔をして、胸ポケットから親指程のクリスタルを取り出した。 その青色の輝きに取り巻きの少年たちは目を奪われる。 「嘘だろ……。“Cブルー”?」 「すげぇ。初めて見た」 「どうやって手に入れたんだよ?」 取り巻きたちは口々に驚嘆の声を漏らす。 「ああ、一ヶ月くらい節約したら貯まったんだ。一昨日クリスタルに入れたばかりだ」 「うちの生活費三ヶ月分をたった一ヶ月? しかもお前、眼イエローじゃねぇか。化けもんかよ」 「人を化けもん扱いしてんじゃねえよ」 取り巻きたちに誉められ、バンディは黄色の瞳を細めて満足気だ。 「まっ無能のお前には一生縁のないもんだけどな。ほら、可哀そうなお前にも持たせてやるよ。Cブルーのクリスタルに触るなんてこれが最初で最後だろうからよ」 ベンディは馬鹿にしたように言って、ショウの右手を強引に掴みCブルーのクリスタルを手にとらせようとしてきた。 「おい、いいのかよ。魔力盗まれちまうぜ?」 取り巻きの一人が心配そうに言った。 「大丈夫だ。この無能にはそもそも魔力を溜めこむ器がねぇんだからよ。それに万が一盗もうものならボコボコにして、吐き出させるしな」 「ハハッそれもそうか」 ベンディが笑い飛ばすと、取り巻きたちも合わせて笑った。
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