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手に取りたくなどない。
しかし、拒絶などすればもっと酷い目にあわされるのは、長年の経験から嫌という程知っていた。
もし、落としたりなどすれば殴られるどころでは済まないだろう。
ショウは早くこの時間が終わることばかり願いながら、おそるおそるCブルーのクリスタルを手に乗せた。
青々とした輝きを放つクリスタルはこんな嫌な奴から生み出されたとは思えない程美しい。
「どうだ。持ってみた感想は? いい気分だろう?」
「……」
ベンディはぎらぎらした白い歯を見せつけるかのうように笑った。
ベンディの言ったとおり、おそらく一生縁のない程の大量の魔力。
自分の物ではない。奪ってやることすら敵わない。
余計虚しさが募るだけだ。
「さっ、満足しただろ。とっと返せこの無能」
自分から渡しておいてなんて言い草だ。
言わせなくとも、こんな物一秒たりとも持っていたくない。
心の中で悪態をつきながら、ショウはクリスタルをベンディに返そうとした。
その時だった。
「え?」
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