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【壱】
さて…、試験的に、
“人間を伏魔ご殿の客として招き入れる”
事が決まったのは幸いな事で御座いますが、
問題点が幾つか御座いまして、
一つに、伏魔ご殿には広報担当が存在ない為、人間をどの様に当旅館に招き入れる冪なのか、
皆目見当が付かない事。
何せ、電気が通らない山奥の旅館なので、電話やテレビなど、電気を必要とする道具の一切が御座いません、
その証拠に、当旅館の照明は蝋燭の灯り一つ。
警備体制は、敷地内は鎌鼬が日夜巡回し、館内ではろくろ首が首を伸ばして各お部屋を確認しております。
御手洗いは厠神の指導の元、そうじ道具の九十九神が毎日保清に務めておりますが、
ちり紙以外を流すと、厠神が怒ってしまいますので、皆様もご注意下さい。
そして、この度の“人間の滞在”について、最も重要な、お食事とご入浴の一切を取り仕切るのが、
煙の物の怪“えんらえんら”で御座います。
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