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猶、伏魔ご殿には、端午の節句の恒例行事と謳われる、
豆撒きが御座いません。
物の怪からもお払い箱にされては気分が悪いと、鬼の方々から苦情があり、酒呑童子の親分が直々に伏魔ご殿に訴えに来られた事も御座いました、
散々苦情を聞いた後、はるばる大江山からお見えになられた親分をタダでお帰り頂くのは失礼だと、
私共、一生懸命にサービスさせて頂きました。
こう言った具合に、宿泊されるお客様の特徴に合わせたお料理とご入浴を提供させて頂くと言うのが、
伏魔ご殿の特色で御座いますが……、
「解せぬと申しますと?」
矢張りタダで首を縦に振るエンラエンラではなく、
一先ず、理由を訊ねます。
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