34人が本棚に入れています
本棚に追加
/290ページ
【壱】
皆みな様、
本日は、伏魔ご殿へのご来館、誠に誠に、有り難う御座います。
当旅館、
伏魔ご殿は、人里離れた山の、奥の奥の、其のまた奥にひっそりと佇む古い木造の、迷い家建築の旅館で御座いまして、
女将は私、猫股のタマコノ前が務めております、
従業員や館内の道具や調度品は、私と同じ猫股やモノに魂が宿った九十九神、
建物も物の怪ならば、従業員も道具も物の怪、
ちなみに、ご利用なさるお客様も、
毎晩こちらで女子会をされる雪女郎様やウブメ様、女郎蜘蛛や、
露天風呂で長湯をなさる河童様と、物の怪づくしの旅館では御座いますものの、
基本的に、
お見えになられたお客様は、どなたでも、誠心誠意、おもてなしをさせて頂くのがこの旅館のモットーに御座います。
最初のコメントを投稿しよう!