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仕事を初めてもうすぐ1年が経過しようとしていた。
そんなある日。
その日は特に暑い日だった。
長時間外にいたせいか水分補給さえまともに取れていない。
軽い脱水症状を起こしていたのかもしれない。
配達の帰り、階段で足を踏み外してしまった。
「っ!」
咄嗟に付いた両手両膝。ジンジンと熱を持ち始める膝。相反して痛みのせいなのか冷や汗を浮かべ始める。
なんとか店に戻ってきた時には真っ青な顔をしていた。
「お帰りー。って大丈夫?顔真っ青だぞ」
「戻りましたー。ちょっと休憩もらっていいですか?」
「行って行って。水分取ってきな」
店長に言われ焼けるような痛みをこらえて休憩室へ入った。
テーブルに置かれた買い置きしたペットボトルを一気に流し込む。
大きなため息をつくとタオルで顔を拭った。
立ったまま片足だけを椅子に乗せるとズボンをめくる。
べっとりと血が付いた膝は紫色に腫れ上がっていた。
「っ!」
痛みで顔を歪めながらテーブルに置かれたウェットティッシュを引き出すと膝に当てる。
あまりの痛さに涙が出そうになりながらもこらえる。
「くっ!」
「お疲れーってどうした!?」
「わっ。東谷さんいたんですか?」
「いました。どうしたのそれ」
「あーコケました」
「コケたって乗ってて?」
「やっ。階段で」
「・・・確か救急箱…、店長ー!救急箱どこだっけ」
「あっ。東谷さんっ良いって…」
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