第2話

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仕事を初めてもうすぐ1年が経過しようとしていた。 そんなある日。 その日は特に暑い日だった。 長時間外にいたせいか水分補給さえまともに取れていない。 軽い脱水症状を起こしていたのかもしれない。 配達の帰り、階段で足を踏み外してしまった。 「っ!」 咄嗟に付いた両手両膝。ジンジンと熱を持ち始める膝。相反して痛みのせいなのか冷や汗を浮かべ始める。 なんとか店に戻ってきた時には真っ青な顔をしていた。 「お帰りー。って大丈夫?顔真っ青だぞ」 「戻りましたー。ちょっと休憩もらっていいですか?」 「行って行って。水分取ってきな」 店長に言われ焼けるような痛みをこらえて休憩室へ入った。 テーブルに置かれた買い置きしたペットボトルを一気に流し込む。 大きなため息をつくとタオルで顔を拭った。 立ったまま片足だけを椅子に乗せるとズボンをめくる。 べっとりと血が付いた膝は紫色に腫れ上がっていた。 「っ!」 痛みで顔を歪めながらテーブルに置かれたウェットティッシュを引き出すと膝に当てる。 あまりの痛さに涙が出そうになりながらもこらえる。 「くっ!」 「お疲れーってどうした!?」 「わっ。東谷さんいたんですか?」 「いました。どうしたのそれ」 「あーコケました」 「コケたって乗ってて?」 「やっ。階段で」 「・・・確か救急箱…、店長ー!救急箱どこだっけ」 「あっ。東谷さんっ良いって…」
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