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「いってきまーす。」 少女の元気な声と共に玄関のドアがガチャリと開いた。 途端に外を支配していた冷たい空気が、家の中へと入ってきて俺の体を震わせる。 「…寒い。行きたくない。」 無意識にぼそりと呟く。 その呟きと共に漏れた吐息が、白く現れて消えるのを視界の片隅で確認し、外に出るのがさらに憂うつになった。 「もう…。才斗は寒がりなんだから。歩けば少しは体が温まるから平気だよー。」 先程、元気に出掛けることを告げた少女、深谷みいこは、ガタガタと震える俺に微笑みながら、早く行こうと手招きをしている。 「はぁ。」 ここでグズグズしていても仕方がない。 やれやれといった感じで溜め息をつくと、寒さに震える足を前へと進める。 ザクリと足元の雪が小気味いい音をたてて、小さく鳴った。
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