自覚…しちゃったんです。

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ひろ 飲み屋街抜けて、坂を上がる。 いちサンと歩いている。 行き先は、いちサン家だ。 仕事終わりや 終電逃した時なんかは、よくお世話になってるいちサン家。 だけど…。 今日は、自分のキモチを自覚してる。 どうする?俺…。 また、逃げる? 今、見付けてもらって 嬉しかった。 恥ずかったけど…。居たたまれないくらい。恥ずかったけど。 どんどん近づくいちサン家…。 ぐるぐるする。 どうする? 何にも纏まんない。 困る。ぐるぐる、ぐるぐる…ぐるぐる。 いちサンは、大学に入ってから始めたバイト先のイタリアンレストランのサブチーフだ。 15も年上で自分に厳しい人で、厳しい中にある然り気無いフォローが優しい 自分にとってこんな大人になりたいみたいな…憧れの存在だ。その憧れが恋だと気が付いたのは、最近のこと…。いちサン 男だし…。俺 男だし…。いや、ホントはもっと前かも、だけどちゃんと彼女いたし 自分と同じ男に惚れちゃうって頭が拒否ってるというか、自分で自分のキモチに向き合えなかったというか…。 けど、認めてしまえば、キモチが溢れた。スキだと自覚したら、ぎゅッって心臓の辺りが苦しくなった。ただただ楽しいいちサンとの時間がドキドキして、恥ずかしくて ソワソワして… ココロも思考も心臓も全部、大変な事になってる。現在進行形で! 俺は、可愛がられていると思う。 職場のバイトとして、凹んだりしてると今日みたいにメシ誘ってくれたり…相談のってくれたり…チーフに怒鳴られた日にはフォローしてくれて…。 なんで恋だって気付いちゃったんだろう。 気付かなかったら…今日もすごく楽しい食事だった…。逃げなかった…。お泊まりだって意識しないで酒飲んでぐだぐだ話して…あーーーぐるぐるする。 カチャッ。 「ほらッ はよ入れ。」 ぎやーーーッ。 着いちゃった。 腹くくれ。俺。 「…。オジャマシマス。」
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