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――まずは始まりから話すとしようか。
アインと私は国境近くの片田舎、村とも呼べぬような小さな集落で生まれた。
今では考えられないだろうが、魔法と言う言葉すらなかった当時。
この集落のように小さな集落は、魔物から身を隠すため、地面に穴を掘り、暗い穴蔵の中でひっそりと暮らすのが当たり前。
しかしそんな中でアインと私は生まれた。
アインは物心つく頃から、一を聞いて十どころか百を知るようないわゆる天才だった。
今でも私は、彼女は天から我々を救うために、遣わされたのだと思っている。
そしてある日、彼女は『魔法』を発現させる。
それは村に劇的な発展をもたらした。
暗闇に光を灯し、魔物を追い払うことができるそれは、我々の生活の場を穴蔵から地上へ移すことを許したのだ。
地上へ出ることにより、十分な『日光』と『広さ』そして『水と食料』を手にいれた我々は村と呼べるほどに集落の規模を拡大させることができるように。
そしてあの日、事件は起きた。
同年代の子供はアインと私以外存在しなかったため、必然、アインと私はよくいることが多かった。
ある日、私達は少し村の外へ散歩をしようと思い立った。
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