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アステル「そっか、そんなにお腹が空いていたんだね……」
モモ「……ちがう。
だって、そうじゃなくって。
おいしくって……、目をさましたら、こんなにおいしいものが、こんなにいっぱい“食べられるのに”って……」
アステル「……目を、…………覚ましたら?」
あるじの問いかけに、ルナも何かがおかしいことに気付いて、同じ疑問をいだいているのだろうニアと顔を見交わした。
モモの涙はもはや大粒となってほほを流れ、手もとのパンにしたたり落ちている。
モモ「だって……もうずっとねむったまま、だから。
昨日の昨日、おやすみって……言ったきり、まだ起きない……から。
……“お母さん”……も、
目をさましたら、
こんなにすごいごはん、が、
食べられたかも……しれない、のに……って、思って……」
アステル「……!」
少女の言葉に、主人の顔がみるみる色を無くしてゆく。
青ざめたのは、ルナもニアも同じだったが、あふれ出す涙を構いもせず、懸命に食べ物をかみしめる少女の姿を見ると、いずれもそれ以上のことを聞き出そうなどという気は起こらなかった。
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