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アステル「帰りに寄ってみよう」
ニア「かしこまりました」
そうつぶやいてあるじが、窓の外へほほ笑みを返したので、ニアも同様に窓の外へ会釈を返した。
大橋を渡り、どっしりとしたレンガ造りの屋敷が連なる富裕区を進む。
中でもひときわ大きく、街の奥の広大な土地にそびえる石造りの屋敷が、今回の目的地だった。
領主スターチス・オルブライト公爵の邸宅だ。
重厚で屈強で荘厳な建物は、大小合わせて十ほどもあり、それぞれが回廊によってつながっている。
その向こう側に飛行場をも設置されていたはずなので、見た目よりもまだ広大だった。
たどり着くと表門から進入し、来客用の玄関口の前まで馬車を走らせる。
一人のメイドがおじぎをして出迎えていた。
御者が馬をくり、馬車がゆっくり停まると、アステルを先頭にして2人は降車した。
アステル「やあ、カトレア」
カトレア「アステル様、ニア様、お待ちしておりました」
カトレアがここに勤め始めて2年になるだろうか、彼女もかつてはメルヴィル家で見習いメイドをしていた。
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