・第1話〔2〕

4/13
前へ
/518ページ
次へ
  アステル「帰りに寄ってみよう」     ニア「かしこまりました」      そうつぶやいてあるじが、窓の外へほほ笑みを返したので、ニアも同様に窓の外へ会釈を返した。    大橋を渡り、どっしりとしたレンガ造りの屋敷が連なる富裕区を進む。   中でもひときわ大きく、街の奥の広大な土地にそびえる石造りの屋敷が、今回の目的地だった。    領主スターチス・オルブライト公爵の邸宅だ。    重厚で屈強で荘厳な建物は、大小合わせて十ほどもあり、それぞれが回廊によってつながっている。   その向こう側に飛行場をも設置されていたはずなので、見た目よりもまだ広大だった。    たどり着くと表門から進入し、来客用の玄関口の前まで馬車を走らせる。   一人のメイドがおじぎをして出迎えていた。   御者が馬をくり、馬車がゆっくり停まると、アステルを先頭にして2人は降車した。     アステル「やあ、カトレア」     カトレア「アステル様、ニア様、お待ちしておりました」      カトレアがここに勤め始めて2年になるだろうか、彼女もかつてはメルヴィル家で見習いメイドをしていた。  
/518ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加