・第1話〔2〕

5/13
前へ
/518ページ
次へ
  薄赤むらさき色の短髪に、ニアと同じ深い青の瞳。   角度のきつい目つきながら笑うとかわいいのに、笑うのは苦手と言っていた。   ニアとアステルほどの長身で、二十歳を過ぎてなまめかしげな体形に大人の魅力が感じられる。    そのカトレアに案内されて、2人は屋敷の中へと入っていった。     カトレア「あるじは今、アレンビー子爵と面会中でございます。 こちらでございます」      おもむきのある長廊下を並んで進み、人声のする部屋の前で立ち止まる。   【コンコン……】     カトレア「カトレアでございます」     声『入りたまえ』      彼女が上品にドアをノックすると、中から公爵らしき声がした。   開扉して一歩踏み入り、室内の者に向かって告げるカトレア。     カトレア「メルヴィル様をお連れいたしました」     オルブライト「おお、アステル君、よく来てくれたな、入ってくれ」      彼女がおじぎをしつつ脇へひかえたので、アステルとニアはすみやかに入室した。   ニアの背後でカトレアが静かにドアを閉めると、アステルは公爵の差し出した手を受け止めに進み出た。  
/518ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加