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ニア「2分経過……」
彼女が時計の針を目の端で確かめて声を発する。
四角いスツールにじっと座った青年の周りでいそいそと動き回る3人の見習いメイドたちが、いっそういそいそと動きを早める。
しかし、あるじに着替えをほどこす少女らは、完全には人の姿をしていなかった。
ジャスミン「アステルさま、う……上をお向きください」
豚の耳をしたハーフオーク族の少女は、シャツのスカーフカラーを結ぶのに懸命で、主人にキスをしてしまいそうな勢い。
デイジー「ジャスミン、ふんでるのよっ」
小さな角がひたいに2つ、ゴブリン族の少女は、スカートのフリルを踏まれながらズボンの用意。
ポピー「アステルさま~、おぐしをおなおしいたします~」
透明の、飛べない羽根を背中に生やしたピクシー族の少女は、とても眠たそうな顔をして主人の後ろからくしを当てる。
つまり少女たちは、皆いずれかの亜人ということだった。
ニア「3分経過……」
シャツがあらかた片付いて主人が立ち上がると、少女たちは踏み台がなければ彼の肩にも手が届かないほどの身長差となる。
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