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ズボンをはかせてベルトをしめ、ベストとジャケットを羽織らせて、最後におのおのほこりを払うと、青年は紳士らしい立派な出で立ちとなった。
アステル・メルヴィル子爵。
暗紫色の髪は両耳を隠す程度の長さ、漆黒の瞳はおだやかな輝きをたたえ、目もとも口もとも大人らしい落ち着きとすずやかさを有している。
亜人ではなく人であり、細作りの体と顔は血色もよく、堂々とした立ち姿。
17歳という若さで彼は、この城のあるじだった。
ルナ「にゃ~~~~♪」
天蓋付きのベッドでネコのように丸寝をしていたネコ耳メイドのルナが、南側にある大窓に向かって大あくびをすませたところで、着替えが終了。
ニア「3分50秒、まずまずね。
あまり時間をかけてしまってはご主人さまがお風邪を召されてしまいます。
さらに早くできるよう、次もがんばりましょうね」
少女たち「は──い!」
ニアが懐中時計を懐中へ仕舞いながら教師めかして言うと、あるじの脇に整列した3人の見習いメイドたちは、気を付けの姿勢で元気よく返事をした。
ニア「では、午前のお仕事を始めてちょうだい」
少女たち「は──い♪」
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