・第1話〔1〕

6/7
前へ
/518ページ
次へ
           例えるならば、20世紀初頭のヨーロッパ。    産業革命を経て巨大に成長した“大帝皇国”は、事実上、世界のおよそ半分を支配するに至った。   交信は手紙と電話によって行われ、 馬車とオートモービルが同じ道に行き交い、 蒸気船と蒸気機関車が街々を結び、 レシプロ飛行機の登場で大空をも手に入れようとしていた時代。    ただし、世界は人のみではなかった。    ネコの耳やしっぽを生やした者、 犬の頭をした者、 何か動物の特徴を持って生まれた者から、 エルフやハーフリング、ピクシー、ゴブリン、 果ては幻の獣の化身といった者まで。   太古より亜人と呼ばれる存在が、人類とともに歴史を築いてきたのだった。    これは、亜人をメイドとして教育し、貴族たちに派遣することをなりわいとするメルヴィル家の当主、アステル・メルヴィル子爵と、その居城メルヴィル城に暮らす花乙女たちの物語。          
/518ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加