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静かなキッチンで。兄は弟に質問を投げかける。
「これは、なーんだ」
兄は、そう言ってニヤッと笑う。
『……ト…マト……』
弟の、はぁ…という息が聞こえる。
「これは?」
そんな弟に兄は、ニコニコとしている。
『……きゅ、……きゅ…うり……だね…』
「そうそう!じゃーこれ!」
『…に、……にんじ…ん……』
「おぉ……。……じゃあ…これは?」
『だ……、だ…いこ…ん……』
「せーかい!……前まで、全く答えれなかったのに!凄いよ!」
『…あ…、あり…がと…う……』
弟は、兄に苦笑いを向ける。
「慣れって凄いな!」
兄は、弟の頭をぐしゃぐしゃとなでる。
『…そ、そう…だね………』
「偉い!偉い!」
『…あのさ……。そろそろ…、イレてくれない……?早くしないと…お母さんが……』
「……………?!自分から言うなんて!…大胆だなー」
『……は?……お兄ちゃん…。野菜切って、お皿にイレるだけで、こんなに時間経ってたらお母さんに怒られるよ……?』
「そ、そうだなー!」
『それに、最後に聞いた時、初めて会ったばかりで5歳だよ?……野菜の名前が言えないのは、仕方ないよ……。僕、もう中学生なんだから野菜の名前くらい言えるよ』
「だ、だなー」
この兄弟は、お互いの両親が連れてきた子供なのだ。
『……お兄ちゃんは、その時小学生だからいえるんだよ……?』
「ご…ごめんなさい……」
『……あ、もうこんな時間経っちゃったね…。早くイレて、リビングに行こ…!』
「おぉ!!」
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