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葉
朝、アラームに起こされて、いつも通りにそれを止める。
枕に散らばった自分の髪に、ずいぶん伸びたなあなんて思いながら起き上がると、やっぱりいつも通りに着替えようと上着を脱いで。
もう一度着た。
……見間違い、だよな?
そっと、今度は衿から覗く。
「………~~~っっ!!」
慌てて部屋を飛びだして洗面所に駆け込む。
ウソ、ウソだろこんなの……!!
青い顔して鏡に映る自分と目があった。
「葉ー?どうかしたのか?」
「!なっ、なんでもないっっ?!」
リビングからザックさんに声をかけられてとっさに答えた声が、いやに高い。
いやいやおかしいだろ!
震える手を胸元に当てると、確かに感じるやわらかさにへたりこむ。
「うそ、だぁ……」
なんだよこれ気持ち悪い。
ないはずのものがあって、じゃああるはずのものがどうなってるかなんて確かめる気力もない。
自分の体にはない筈の胸の膨らみが、どうしようもなく気持ち悪い。
だってこんな、自分の体が女のものみたいになったなんてありえない。
あ、やべ、泣きそう。
落ち着け、まずは落ち着かないと。
それで、
「…ザックさん、包丁とってきてくれません?」
まずは気持ち悪いこの胸のもんを削ぎ落とそう。
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