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ピピピっ。ピピピっ。ピピピっ。
何時ものように大きくなっていく目覚まし時計の音に、
驚くように私はゆっくりと体を起こす。
ふと、手に触れた、ふわふわの感触に
私は意識をしっかりと覚醒させてキョロキョロと周囲を眺めた。
小学校入学当初からずっと愛用している学習机。
大きな本棚には、溢れんばかりの小説や漫画たちがずらりと並ぶ。
本棚の隣には、高校入学の時に買ってもらった鏡台。
手元に視線を落とすと、私はいつも眠っていたベッドの中で目覚めたようだった。
えっ?
どうして?
私はあの日、幕末にワープしてそこで、総司に出会った。
えっ?
総司?総司は?
あの日、総司は私と一緒に歩いてた。
そして……雷に打たれた。
慌てて掛け布団を跳ね上げてベットから飛び出すと私は、
幕末に忘れてきたはずの聖フローシアの制服に袖を通したままの姿が鏡に映し出される。
「瑠花ちゃん、何をバタバタしてるの?
騒々しいわよ」
パタパタとスリッパを鳴らしながら近づいてくる足音はママのもの。
すぐに部屋のドアがノックされてゆっくりとドアが開かれる。
「ママ……」
「まぁ、瑠花ちゃん。
いくら疲れてしまってるからって、制服で寝ちゃだめよ。
ほらっ、しわしわになってる」
「えっと……あの……、長い間ごめんなさい。
居なくなって……」
ずっと私、家族に心配かけて悪い子だった。
長い間、幕末に居ましたって言っても誰が信じてくれるだろう?
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