115.別たれた希望 北の大地を目指して 

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「山波、いるか?」 負傷兵の手当の手伝いをする合間に、 桶に水をくみに向かった井戸の傍へと土方さんが訪ねてきて私の名を呼ぶ。 滝沢本陣に辿り着いた日から数日が過ぎた日のことだった。 「お呼びでしょうか?」 くみかけの水を桶へとあけると、 作業を中断して土方さんの方へと体を向けて声をかけた。 「もうすぐ、この場所にも敵が攻めてくる。  俺は先の軍議で会津の大殿より庄内藩へと援軍を呼びに行く命を受けた。  新選組を斎藤と共に会津へと残るものと、俺と共に行動するものにわけた。  斎藤より加賀と共に行動していた親しかったものが戦死したことは聞いている。  俺は北へと向かうが、山波は加賀の傍にいても良い。  お前たちは遠い世界から来たのだったな。  芹沢さんは、月といって笑ってたな。  だが岩倉は先の未来を語るのに明るかった。  岩倉と親しくしていた総司は、聞いていたんだろうな。  岩倉の姿が消えて、大阪の戦の頃からだったかな。  いろいろと俺に、月の情報を話してくれた」
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