115.別たれた希望 北の大地を目指して 

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「目を背けようとしなかったとかそう言うのじゃなくて、  ただ必死だっただけです。  目を背けようしなかったじゃなくて、目を背けることが出来なかったんです。  ただ必死に、現実を受け止め続けるのに必死でした。  月の世界って言うのもおかしいんだけど、  私や瑠花、舞が暮らしていた時代の日本は、犯罪とかは確かに減ってはないけど、  戦争はしてないんですよ。自分の国では。  だから刀や銃を勝手に許可なく所持してたら、銃刀法違反って言う罪にとわれちゃうそんな時代。  自分の国では平和だけど、広い世界に目を向けてしまったら戦争はたえなくて、  砲弾よりもっと威力の強い戦道具で戦争してる。  でも自分たちが住んでいる世界は平和だから、そんな『戦争』って言う危機感はないの。  だから私たち、凄くぬるい世界で生きながら、必死に生きてたふりをしてたんだなーって。  だから、この世界に来てたから、私は本当の意味で『生きる』って言うことを教えて貰ってる」 そう……辛いことが多かったけど、 その辛さを一歩ずつ乗り越えられた時、生きている満足感が私にはあった。
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