116.悲しみの心 苦しみの心 

4/16
前へ
/442ページ
次へ
私が知ってる歴史と今の歴史はどうなってるの? パパの言葉から不安になった私は、 眠り続ける総司に『行ってくるね。また顔を出すから。早く目覚めて』っと声をかけて 病室を後にした。 「あらっ、瑠花さん、お帰りですか?」 ナースステーションから、昔から顔馴染みの師長さんが姿をみせる。 「はいっ。  ちょっと行きたいところがあって」 「今、お父様は緊急処置に入られていて」 「さっきの救急車の患者さんの対応かな?  パパも大変だ。  また明日、放課後にお邪魔します。  総司……、あっ、山波君のこと宜しくお願いします」 そう言って深くお辞儀をする。 そう……私にはやるべきことが、この場所であるはずだから。 総司の傍にずっと居たくても、何もせずに居続けるなんて出来ない。 多分、総司もそれは望んでいないと思う。 「あっ、瑠花さん。  少し気になってることがあって。  瑠花さんは、どうして……山波君、彼のことを『そうじ』君と言うのかしら?」 その言葉に私は、ドキリとする。 私が、幕末から沖田総司を現代へ連れて帰って来たのが知られたような気がして。  
/442ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加