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バクバクと波打つ鼓動を深呼吸して落ち着かせると、
その感覚から逃れるように、真っすぐに師長を見据えて当たり障りのない返答をする。
「私と山波君の間の秘密の名前って言うか、『そうじ』は山波君の
ハンドルネームなんです。沖田総司が好きだから、総司って名乗っていて。
だから私も、つい『総司』って山波君のこと、呼んでしまうんです」
そう言ってにっこりと笑った。
「まぁ、山波君のハンドルネームだったのね。
沖田総司、新選組ね。
だから彼は、何か剣術をしているのかしら?」
その言葉に再び、ドキっとしてしまう。
「えっ、えぇ……。
総司は、高校で剣道部に入っているわ。
総司が住む家も、山波道場をしているから、
その辺りも影響受けてるかもしれないわね。
それでは、ごきげんよう。
山波君を宜しくお願いします」
そう言って、改めて深くお辞儀をすると、
足早に師長の前から逃げるように歩き出した。
どうしたんだろう。
病院の正面玄関のドアから出た後、
師長との会話を思い返す。
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